ジュエルレター

ジュエルレター 2014年10月

 今月前半の週末は台風で、後半は秋の長雨でしょうか、寒い日が続いています。この間まで暑い暑いと言っていたのに、急に寒くなりました。さわやかな秋晴れはなかなか続きません。あっという間に「天高く馬肥ゆる秋」は過ぎていきましたが、食欲の秋は、まりこ肥ゆる秋となって勢いが止まる様子はありません。
 
 いま、NHKのBSプレミアムで「坂の上の雲」を再放送しています。3回目の放送になると思いますが、毎回見てしまいます。配役もいいけど、そして、もちろん司馬遼太郎の原作もいいのですが、この時代の人々の前を向いて生きている姿に心が洗われます。不治の病で早逝してしまう正岡子規も、亡くなる寸前までよく食べ、創作意欲に燃えています。いま、死にたいとか、誰でもいいから殺したかったという若者がいますが、なぜでしょう。生きるというそのことが目的にならない時代なのでしょうか。
 ドラマの背景は、日本がまだまだ貧しく、特に松山という地方での暮らしは、今では考えられないくらいの貧しさですが、みな生き生きとしていて、若者が自分の夢に向かって進み、家族はそれを応援する、そんな家族に感謝する…そういう当たり前の生活をしています。お年寄りも、体が動くうちは何らかの役割を担っています。今は、働くところがなくてもなんとなく生きていけるし、若くても生活保護を安易に受けている人もいます。家族と同居していても寂しくてたまらないお年寄りが不満をためています。そして、見も知らない人とのつながりを求めてネット上をうようよしています。身近にいる一番大切な人とのかかわりを避けているような気がしてなりません。
 「坂の上の雲」では、家族同士、友達同士、学友ともみな本音をぶつけ合い、自分と自分の周りを大切にしながら、国が世界に扉を開いていく、その国民としての誇りを持ちつつ、役割を果たしていく人々の姿が、見るたびに引き込まれてしまいます。未来はあかるし…そう感じられる作品です。

お問い合わせはお気軽にどうぞ

ページの上に戻る