ジュエルレター

ジュエルレター 2018年10月 号外2号

みなさん、こんにちは。

私は、無認可託児所「キッズルームさくらんぼう」を立ち上げてから10年がたちます。自分の子育て経験から、働いているお母さんたちのために、子育てが少しでも心の負担にならないようなお手伝いをしたいという思いから始めました。そしてその時は、よいことをしていれば行政もわかってくれて、いずれ認可とか補助金援助などの道が開けるのでは...などと心の中で期待もありました。一度事業を立ち上げてしまうと、働いている方たちへの責任もあるから、中途半端にとん挫することができないので、お金の心配をなくして、若い保育士さんたちにも安心して希望を持って働いてもらいたいからです。

しかし、この10年の行政とのやり取りで、そういう期待はもう無理かなぁとあきらめています。行政には何も期待できないとも。

そもそも福祉を既得権益と考える人たち、たとえ雀の涙でも(年間5万円の補助金)行政に関与されるとやりたいことができないからです。毎年の立ち入り調査では、毎回スタッフたちとむなしい思いをかみしめています。

私たちは、立ち入り調査でわたしたちの仕事の内容、姿勢、子供たちを取り巻く現状を知ってもらうチャンスと思い、そのたびに期待を持って協力するのですが、現実は、あら捜し、しかも事前にかなりに資料を提出されるのですが、調査に来る人たちはほとんどそれを見ていなくて同じ質問を繰り返します。認可保育所に準じた保育計画だの、子供の健康診断などを求めてきます。一時預かりや夜間保育の子がほとんどなのに。そして調査結果はいつも✖で、毎年同じ結果です。その間主要スタッフは応対にとられ、子供たちを見るためにやむなくパートを増やして対応するのです。それが10年続いているのだから疲れてしまいました。

子供の命を預かるのだから仕方のない部分もあると思いますが、子育ては、

ここからこことは線引きできないものなのです。預かる子供の年齢や、時間などを行政から指示されたくないし,スタッフのスキルも、ただ保育士の資格だけでは測れないのです。幸い「さくらんぼぅ」では資格を持った働き盛り、子育て真最中のスタッフが頑張ってくれていますが、例えば若い主婦でもあるスタッフたちが、夜間保育にいつでも対応できるわけではありません。子供が多い時、急に予約が入った時などは、子育てが終わった普通のママさん経験者で補いますが、それが保育士の基準不足と判定され、指摘されます。もちろん資格者もいるのですが、乳児が一人でもいればそこに専任でつけなくてはなりません。託児所なんだから、保育士基準ではからないで、と言っているのですが。

「さくらんぼぅ」の夜間保育は、小学生低学年の子たちもいるのですが、入学前の子と学童保育の年齢の子を一緒の施設で預かることは、保育課の補助金対象から外れてしまいます。でも私は、あえて一緒にあずかっています。だって兄弟とかいるし、ほかに夜間託児所なんてありませんから。

そこでいつも悩むのがお金のこと。本当は認可保育園より安く預かりたい。横須賀は母子家庭も多いし、就職先もあまりないので、水商売、非正規のパートの掛け持ちなどをしてるお母さんが多いのです。その人たちに、今の「さくらんぼぅ」の託児料は負担が大きいと思いますが、それでも夜、家に子供だけを置いていくよりもと選択しているのでしょう。また、保育士の皆さんも認可保育園の保母さんから比べたらすごく安い給与の中で頑張ってくれています。ボーナスも一回も出せたことがありません。でも、みんな心を一つに強い理念を持っているのです。

これからの私の仕事は、行政を当てにせず、こんな「さくらんぼぅ」を応援してくれる外部の支援者をひとりでも増やし、質のいい育児、でも暖かい家庭的な育児、スタッフとお母さんたちが一緒に成長できる場所を運営し続けることだと思います。素晴らしい仕事をしているのだから。

子育て支援というとすぐに保育所増やせという発想になりますが、箱物を作っても人は育ちません。ルールだけ作っても実情に合わなければ使えないルールなのです。子供を見て、子育て中の保護者を理解し、受け入れ、社会みんなで子供を育てるのだから、いいスタッフ、変わらない理念ということがとても大切です。昔は地域で育てていました。それが本当は一番なのです。

今はお金もないのでたとえわずかな補助金(年間5万円、夜間保育をしてると月4万円の家賃補助が出るようになりました)を受け取ってしまってますが(背に腹は代えられない)、これを断り、自立した思い通りの託児所を作っていくのが夢です。子供やお母さんにも選ばれる場所にしたいのです。

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